最近読んだ本

要するに最近読んだ本。

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)

万城目さんの作品は映像化もされてるし、人気ありそうだけど、読んだことなかったので、手に取ってみた。最初は「夜は短し歩けよ乙女」とか「四畳半神話体系」の森見作品的な感じを抱く。舞台や主人公のノリや突拍子も無い展開がそう思わせるんだけども、森見作品よりも設定の緻密さを感じる。考え抜かれた突拍子のなさって感じがする。
大学生たちがホルモーと称する戦いに明け暮れる青春ファンタジーって全然伝わらないと思うけど、ぼくもよくわからない。娯楽小説として、大変楽しめる。


月と蟹

月と蟹

道尾さんの作品も初。直木賞受賞作である。
3人の小学生たちの残酷なイタズラとそれを通した彼、彼女たちの成長物語。
子供の頃ってこういうよくわからんことしたなーっていうあるある描写を綺麗に書いてるなーと感心する。実際の子供たちはこの作品で書かれるような子供たちほど考えてたりしないのかもしれないけど、もう子供ではない人たちが読むとふむふむってなっちゃうホイホイ術が上手なんだろうな。
直木賞らしい後味の悪い作品。


再び万城目作品。前回いだいた設定の緻密さはこの作品でもものすごい伝わる。
豊臣秀吉の末裔を大阪の男たちがみんなで守り続けているというトンデモ設定。根幹となるこの設定にはまるで説得力ないけど、そういう前提をのみこませ、史実とフィクションで肉付けされていく。根幹の設定に説得力がないけど、主人公もそんなわけあるか、という姿勢で話が進んでいくので、ちゃんと読める仕組み。


ちなみに。月と蟹では机「9」文字事件がイタズラの象徴っぽく出てくるんだけど、プリンセス・トヨトミでは別の形で机文字の描写が出てくる。続けて読んだ本で似たような描写があって、個人的に面白かった。


骸の爪 (幻冬舎文庫)

骸の爪 (幻冬舎文庫)

再び道尾作品。
面白いかった。散りばめられた伏線がつぎつぎと見事に回収されていくラストは圧巻。
序盤は主人公が仏像の工房で体験する怪奇現象。その怪奇現象が解き明かされるにつれ、工房で起きた事件も解明されていく。過去と現在ふたつの事件をそれぞれの登場人物が断片的に目にして、それぞれの思いでそれぞれの行動を移していった結果なんとも悲劇的な事件が起きるんだけども、まぁお見事。すごい。